遠江伝承文芸映像詩

半農半術で創造的に生きていく諸術探究編

侵略者のユウウツ 第1章

侵略者のユウウツ 第1章

 

人物

円狩光(40)フリーランス エンジニア

岡田三津留(58)円狩のパートナー

円狩エミリーヌ(30)円狩の妻

倉田玄(45)円狩のクライアント

 

◯巨大プラント工場・商談室

   広大な空間の真ん中にスポットライトの光がある。

   図面を広げたテーブルを囲んでいる円狩光(40)と岡田三津留(58)

   と倉田玄(45)。

   目を半開きでボーッとしている円狩。

   図面を見ずにスマホをみている倉田。

   岡田、倉田に

岡田「どないするぅ?」

   と円狩に

岡田「なあお父ちゃん!どないなってるの?」

   円狩、ボーッとしたまま

円狩「前のモデルよりトラブルが少なくなるような対策は取ってあります」

   岡田、すかさず

岡田「そりゃあええ!すごいやん、なあ倉田ちゃん!」

   と倉田を見る。

岡田「うん、決まり。これでいきましょや」

   と裏ポケットから手帳を出す。

   倉田、スマホから目を離さずに

倉田「(ぼそっと)ねえねえ。水って知ってる?」

岡田「ひょー!何ですか?そのミズって。円狩くん知ってる?」

円狩「え?知らないです」

倉田「(ぼそっと)知ってそうな人心当たりない?」

   岡田、電話をポケットから出し、かける。

岡田「あ〜 どうもマイド!(どない調子は?)」

   と歩き回り出す。

   スマホをいじり続ける倉田。

   図面に目を落としたまま黙っている円狩。

岡田「ありがとう。ほな、マイド」

   と電話を切る。

岡田「お父ちゃん、歴史教科書に載ってるらしいで、ミズ」

   倉田はスマホをいじっていて、円狩は図面をみている。

倉田「そうだっけ?歴史はサボったからなあ」

岡田「昔あったけど、今はないっちゅうこんや。諦めなはれ」

   倉田、スマホを閉じながら

倉田「今ね、実は、水計画ってのが(進んでて〜)」

   円狩、倉田をチラ見。

岡田「ひょー!!ミズケイカク!けったいな計画やな」

倉田「今ね、行ってもらう候補者を探しているんだよねぇ」

岡田「どこへ?」

倉田「場所は・・知らん。水のあるとこでしょ」

岡田「は?場所もわからんのに行けっていうの?お父ちゃん、そりゃあかんわ」

倉田「ん〜誰かいないかなぁ」

   と岡田をチラ見。

   岡田、倉田と目を合わせる。

   円狩、図面をみている。

岡田「そうや、困るなぁ。大変やなぁ。円狩のお父ちゃん、学部どこだっけ?」

   円狩、ぽかっと岡田をみて

円狩「僕は電子科で(すけど)」

岡田「円狩くんさぁ、行ってきてくれんへんかなぁ」

円狩「は?どこへですか?」

岡田「ごめんやけど。決まりやな!倉田ちゃんOKやて」

円狩「いや、ちょっと(意味がわからないですよ)」

倉田「行った先で、仮にもしも侵略扱いされても、まあ偉業ってことでこっちでは英雄扱いだから心配しないで」

岡田「ほほほ。倉田ちゃん!おもろいこと言うデェ。どこで覚えよった?」

   円狩、岡田と倉田を交互にみながら

円狩「いや、いや(です。いやです)」

  岡田の電話がなる。

岡田「ほな、あとは頼むでぇ」

   岡田、すたすたと立ち去る。

倉田「図面はそれですすめていいから。じゃ頼んだよ」

   と岡田の後を追い、歩きながら話こむ。

   図面をじっと見る円狩。

   スピーカーからチャイムが鳴る。

   円狩、ハッとして図面を片付ける。

 

 

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