遠江伝承文芸映像詩

半農半術で創造的に生きていく諸術探究編

ぼくらのいた風

ーぼくらのいた風ー

 


空をみあげれば

 

風が泳いでいた

 


今日の風は


未来の風も

 

そして過去も

 

風はつながって

 

流れてる

 

 

 

ぼくらのいた風は

 

どこに流れてたんだろう

 

 

 

君のいる風は

 

たしかに繋がっているんだ

 

 

 

時のにおいを便りに

 

今日も脈々と

 

風は流れてる

神隠し

君は神は居ないと言う

 


祠を蹴り倒し梵字を罵る

 

 

 

神の山へ向かって行く君

 

大きな荷物を引きながら

 

黄昏時に垂れた腕

 

 

 

 


君の家にカルシウムの山

 

ポケットから落ちる白いクズ

 

 

 

神の山にもカルシウムの山

 

 

 

人が姿を消すと神隠しにあったと言う

 

 

 

神は君を選んだのか

 

 

 

君が神を選んだのか

 

 

 

黄昏時に見た君は誰か

 

 

 

 

啓蟄

鍬をシャッシャ

土をシャッシャ

揺り動かせ

シャッシャ

いきものたちを

揺り起こせ

シャッシャ

雨水はおわった

さあおきろ

シャッシャ

カエルも

ミミズも

黄金虫も

みぃんな起きろ

シャッシャ

目を覚ませ

シャッシャ

 

 

バトン

優しい未来が見えるかい

 


労りのある世界が見えるかい

 


僕たちにとっては短い人生でも

 


人類にとって長い人生を賭ける

 


人生のバトンを繋ぐために

 


僕たちは生きる

 


先人からのバトンを今、持っている

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

時代の狭間に

この着物を替えたのはいつだっけな

 


この子を孕んだのはいつだっけな

 


あれみなされ

 


頑固で硬そうな建てもんが突き出ちゃる

 


カツカツ足を鳴らして歩いてる

 


でもこの子の泣き声は聞こえるかの

 


ここらだけ時が止まっただか

 


この着物を替えたのはいつだっけな

 


この子を孕んだのはいつだっけな

陰翳の狭間に。

小夜の中山峠とは

 
陰翳である。
 
角、隅の光と影の狭間。
 
古の風が残る掟。
 
日本人にとって陰翳の間に美学がある。
 
美しくもあり怪しくもある。
 
焚き火の匂いと黄昏時。