遠江伝承文芸映像詩

半農半術で創造的に生きていく諸術探究編

キズナ 第2章

短編シナリオ「キズナ

 

人物

小暮聖人(14)中学生

竹田春樹(14)聖人の同級生

小暮万理(39)聖人の母親

TVアナウンサーの声(40)

 

 

キズナ 第2章

 

◯学校・教室(朝)

   席に座って包みを開けている聖人。

   中から四隅に花柄のワンポイントのある白いハンカチが出てくる。

   聖人、微笑んでから下唇を噛む。

 

◯同・校門(夕)

   自転車と共に倒れている春樹。辺りは誰もいいなく静か。

   歩いてくる聖人。

   聖人、立ち止まり、目を凝らす。

   聖人、ハッとし春樹の元へ駆け寄る。

   聖人「大丈夫?」

   としゃがみ様子を診る。

春樹「車とぶつかりそうになって、ハンドル切ったらこのザマ」

   と苦笑い。

聖人「立てる?」

春樹「大丈夫!これしき」

   と起き上がり、手を見る。

春樹「あれ?血だ」

   春樹の手から出血している。

   アスファルトに散った桜の花びらが血に染まっている。

   聖人、ポケットの中を弄ったりしてからアッとする。

   聖人、カバンからリボン付きの包みを出す。

   春樹、ポカっと聖人の様子を見ている。

   聖人、リボンの包みから出したハンカチを握って小さく頷く。

   聖人、春樹の手にハンカチをぐっと当てる。

   春樹、ハンカチをじっと見てから

春樹「ありがとう、聖人」

   聖人、にっこりする。

  小学生二人が楽しげに通り過ぎていく。

   聖人と春樹、その姿を眺めている。

春樹「こうして二人で話すのも久しぶりだな」

聖人「小学生の頃はよく遊んだよね」

春樹「俺が引っ越してきて、友達になったのはお前が初めてだったんだよな」

聖人「え?そうだったの?」

春樹「あれ?言わなかった?」

聖人「ハツ!」

   春樹と聖人、同時に吹き出す。

   ハンカチが血で滲んでいる。

 

 

第3章へ続く