短編シナリオ「キズナ」
人物
小暮聖人(14)中学生
竹田春樹(14)聖人の同級生
小暮万理(39)聖人の母親
TVアナウンサーの声(40)
キズナ 第3章
◯同・教室
授業を受けている聖人。
蝉の鳴き声が聞こえている。
聖人、額から汗が垂れる。
聖人、外を見る。
開け放たれた窓から白い入道雲が見える。
聖人、向き直る。
授業を受けている白いYシャツとセーラー服の生徒たち。
聖人、春樹をみる。
春樹、板書をしている。
聖人、黒板を見る。
黒板に ” ハンカチ ” の文字。
聖人、黒板から目を逸らし、担任の机に飾られた花をじっと見る。
◯同・体育館裏・外
展示物の残骸や模擬店用のゴミが山積みになっている。
聖人、段ボールを抱えて来る。
聖人、ゴミ山に足を踏み入れて段ボールの中を空ける。
ゴミが崩れて側溝の方へ転がる。
聖人、予期しない顔。
側溝の中へ転がり落ちるゴミ。
がっかりする聖人。
側溝の中に聖人の手が入っていく。
側溝に覗き込んでいる聖人の目。
一瞬固まり怪訝な目になる。
側溝から聖人の手が上がって来る。
泥だらけのハンカチも一緒。
空にかざされるハンカチ。
ハンカチの隅には花柄のワンポイント。
ハンカチをじっと見る聖人。
段ボールが蹴り飛んでいく。
◯同・廊下
人気が無い中、聖人、水道でハンカチを洗っている。
シミの残るハンカチ。
聖人、ハンカチのシミに石鹸をこすりつけて濯ぐがシミは落ちない。
聖人の顔に力が入る。
誰もいない廊下に水道で洗う音だけが響く。
第4章へ続く