日坂宿を東へ行き、旧国1を渡ると、急な登り坂へ差し掛かる。
「沓掛」と言われる心臓破り超えな極坂である。箱根の山だぁ?多分こっちが上。
地元民やハイカーくらいしか知らない隠れたスポットである。
全国にも「沓掛」と言われる地名はいくつもあり、大概は急坂だ。
「沓掛」の所以は坂が極急モンであるがため、馬の沓や草履を取り換える、または無事の旅路を祈るという意味がある。
ここをさらに進むと「小夜の中山峠」へ通じる。
この「沓掛」から「菊川の里」までを小夜の中山といい、東海道でも難所の一つであった。
また、東海道ができるはるか前、源平合戦の時代からここが登場し、幾つもの伝説が残る。
難所であるがゆえ、命を落としたり、危険にあったりと通行する者は祈る思いで足取りを急いだに違いない。
しかし今から100年ほど前、小夜の中山を迂回する有料道路(後の旧国1)ができると、ここを通る者は激減した。
今では伝説はひっそりと残るが、ハイカーが無間山を遠くに思いを巡らす程になってしまったのか。