事任八幡宮の西近辺には二つの小高い山があった。今の道の駅入り口と道の駅あたりである。
昔、昔のその昔、竜王と八幡様が碁をしていた。そこへ八幡様の娘が現れ、竜王は一目惚れ。
どうしても娘を手に入れたい竜王は、雄鯨と雌鯨を使いにやった。
怒った八幡様は鯨目掛けて碁を投げつけ成敗した。鯨は時と共に岩石と化し、ついには小高い山となった。
姫を隠した村あたりは、しばらく真っ暗闇となってしまった。だからそこをくらやみ(くらみ)と言われた。
また、逆川と呼ばれる所以もこの伝説に関連している。
長い時間を掛けて伝えられてきた話の場所が消滅してしまうのは寂しい限り。
科学技術の進歩は否定しない。進歩し続けるべきである。
ただ、技術革新によって形は失われても目に見えない無形な伝承は守るべきではあるまいか。