題「アウトなレイジ」
人物
下葛信長（５０）下葛組組長
鬼玉光秀（３８）下葛組組員
虫玉五郎（４０）下葛組組員
ウメ（８０）駄菓子屋店主
小沢一郎（９）小学生
◯同・外
鬼玉の顔を指でいじりながら店から出てくる下葛。
虫玉の声「ここです」
鬼玉と下葛、声の方をみる。
虫玉がガチャガチャ器械の一つを差している。
下葛、鬼玉を突き放し、玉虫の方へいく。
下葛、虫玉の前にしゃがんでガチャガチャ器械を見る。
ガチャガチャに貼られているPOPには「ワルサーP３８」
の文字。そしてワルサーP38風な粗悪なモデルガンが写っている。
下葛「おーー」
鬼玉、虫玉や他組員たちも声をあげる。
下葛「これや、これ！」
と店内に向かって
下葛「おい！ババア！！取引や。いくらがええんや」
とガチャガチャ器械を揺らしたり中を覗き込んだりしている。
ウメの声「ゴジューエン！」
下葛、ガチャガチャ器械の中を覗き込みながらニタニタして
下葛「おいおい、”マン”が抜けとりゃしませんかい？」
ウメの声「ゴジューエン！」
下葛、虫玉に小声で
下葛「おい、ほんまに五十円でええんかのお？」
虫玉、迷いながら頷く。
下葛、ガチャガチャに向き直って
下葛「オイ」
虫玉、マッチを擦って吹き消す。
煙が漂う。
下葛、鼻で深呼吸する。
下葛「オイ」
虫玉、慌ててマッチを擦ろうとする。
下葛「アホ！金もってこい」
虫玉、オドオドする。
下葛「五十円だよ！！」
虫玉、ガッテン顔でポケットに手をつこむ。
下葛、虫玉がモゾモゾしてるのを見て
下葛「何やってんだよ！たんまりあるだろうが！早く出せ！」
虫玉「たんまり・・俺はないっすよ」
下葛「テメェ！！持ってきた組の金どうしたんだよ！！」
一郎の声「あのさぁ、どっか広い空き地でやってくれよな」
下葛と虫玉、声の方を見る。
小沢一郎（９）が隣でじっとガチャガチャを見ている。
下葛「おい、小僧。今立て込んでんだ」
一郎「ウルサイ」
下葛、舌打ちする。
一郎「今、集中してんだから話しかけるなよ」
一郎、深呼吸して一気にガッチャガチャを回す。
カプセルが落ちてくる。
下葛と虫玉、チラ見する。
一郎、カプセルを持って店内へ入る。
下葛、虫玉に
下葛「おい、今の当たりっぽくなかったか？」
虫玉、べこ人形のように頷く。
下葛率いるヤクザたち、互いを見合わす。
ウメの声「あい、あたりー」
下葛、びびる。
ザワつくヤクザたち。
一郎、でかい箱を持って出てくる。
下葛、虫玉に目で合図する。
虫玉、頷いて一郎に
虫玉「おい、ボウズ。まさか当てちまったのか？」
一郎、頷く。
虫玉「テメェ！親分のワルサーを！」
